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筆者のプロフィール

小学校の頃、ある日突然父親から仕事の関係でアメリカへの引越しすることを伝えられる。小学生なので状況があまり把握できなかったが、ディズニーランドに行けるとのことで難なく説得される。到着したカリフォルニアのロサンゼルスは、太陽の大きさが日本よりとても大きく感じ、3月なのに日中は夏日のように暑く、アメリカの飲み物「Tropicana(トロピカーナ)」のオレンジジュースや牛乳の味がものすごく濃くてまずかったのを覚えている。

到着した次の日からアメリカンスクールに入学する。もちろんこの時、英語が全く喋れない状態でいきなり通訳もないままアメリカ人と一緒に授業を受け始める。授業は全くわからなかったが、ランチを食べたり、スポーツをしたり、アメリカ人と一緒に遊んでいるうちに友達ができ、2、3ヶ月ほどで簡単な日常的な英語が話せるようになる。もちろん意見が合わない時はしょっちゅうあり、ケンカもよくしていたので校長室に親が呼ばれることもあった。そして6ヶ月が過ぎたあたりから読み書きが少しずつできるようになった。ただ最初の1年は、特に英語に苦労した記憶がある。

発音に関しては、とにかく耳から入ってきたことを文章ごとまとめて覚えて、そのまま話していた。文章の意味は何回か聞くうちに理解できたので、いつこの文章を使えば良いか理解はしていた。ただ1つ1つの単語や文法は全く理解していなかった。文章というよりは音の連続として記憶していたので、「聴いた音楽の歌詞はよく分からないがそのまま真似て歌っている」、そんな感覚が近いかもしれない。覚えた文の単語の意味や文法のことはわからなかったが、覚えた文章の発音はネイティブそのものだった。

この感覚を例えると、頭の中ではこのようにまとめて覚えた文章がいくつもあり、それがブロック状になって整理されていている。そして必要な時にそれを引き出している感覚だった。細かいことはわからなかったが会話はできた。その後少しずつ語彙やフレーズを増やして文章の中に入れ替え応用し始めることで、英語力が上達していった。

英語の発音は、聞いたことの意味や詳細が分からなくても、そのまま文章ごと真似て話すことがネイティブの発音に近づき易いし覚えやすい。目で文字を追ってしまうと、一つ一つのアルファベットや単語の意味に意識が集中してしまうので、小さな部分にしか意識がいかず全体像を捉えづらい。そのため途中で詰まったり、音で捉えず文字で捉えてしまうので、日本語の発音の癖が混ざってしまい、流暢さや文章のテンポ・リズムを崩してしまう。ネイティブな発音に近づくためには、まずは英語の特徴であるリズム・テンポ、イントネーション、アクセントを文章ごとに音楽の音のようにまとめて覚えることが重要であると実感した。

その後、高校で帰国子女として日本に帰国。日本の英語教育が文章の和訳や文法、単語の暗記ばかりに偏っていて全く楽しくなかった。周りの生徒も帰国生以外はほとんど英語を話せなかった。この頃、帰国子女の友達と当時流行っていたヒップホップやラップの歌詞を文章化したり和訳したりして遊んでいたことが友達にとても珍しがられたほど、同級生は英語のリスニングとスピーキングができなかった。この頃から耳で聞き取ることの重要性を英語教育に生かした仕事をしたいという気持ちが生まれ始めた。

昔から物づくりが好きで、工作、陶芸、家具作りなどアイデアを形にすることに興味があった。そのため、ニューヨークの大学でデザインの学位を習得後、ファッションデザイナーとしてニューヨークコレクションを手掛けるデザイナーとなる。アメリカには西と東でたくさんの違いがあり、西のロサンゼルスでは、とてもリラックスした陽気な気質を吸収し、東のニューヨークでは、スピード感ある論理的で鋭い思考的な気質を経験した。

ニューヨークでデザイナーとして働いていたある日突然、オフィスから徒歩数分のすぐ近くの世界貿易センターが爆破された。この時に、大国アメリカがこのような惨事を受ける国になってしまったことと、テロリストを防ぐという名目で国が個人のプライバシーを次々と侵害し始めたことに危険を感じた。同時に会社設立のために日本へ帰国。

帰国後は、ファッションデザインの仕事や、英語教育の仕事に専念し、大学院ではTESOL(英語教授法)の学位を習得。現在は、大学や民間の企業とともに英語教育を行なっている。

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著者

幼少期にアメリカ・ロサンゼルスで育った英日バイリンガル。大学では言語学とデザイン、大学院ではTESOLの分野を研究。ニューヨークのトップブランドでデザイナーとしてNYコレクションなどで活動後、日本に帰国。ファッション、発音矯正、英語講師養成講座などの分野を専門に英語講師として数々のレッスンや講演を行う。現在は池袋・要町エリアを中心に英語・発音を指導。

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