何歳から英語を習い始めると良いかは、言語学の分野でも意見が分かれます。
大きく分けると2つ。
①早ければ早いほうが良い。(赤ちゃんや幼児など)
②母国語(日本人の日本語)が確立されてから。(思春期が始まる9〜11歳ごろ)
なぜ意見が分かれるかというと、英語(外国語)を学ぶ時に日本語(母国語)のレベルも考える必要があるからです。
すなわち、英語を学んでも日本語を忘れてしまっては本末転倒なので、両方の言語を維持するという視点から考えると上記の①と②に分かれるのです。
どちらも良い点と悪い点があります。
① 早い時期から英語学習をスタートするので、ネイティブな発音や感覚が身につきやすいが、日本語が確立されてないので日本語が中途半端、もしくは忘れてしまう。
② 日本語は確立されるので忘れたりしないのですが、英語のネイティブな発音や感覚を養うのに①より苦労する。
私が以前アメリカに住んでいた時に、①のケースの子供によく出会いました。
両親が日本人でアメリカで生まれた子供たちで、英語はネイティブな感覚を持ち、アメリカ人と同じように会話ができますが、日本語は日本で育った日本人と比べると、語彙や文法がとても未熟なのです。
この子たちがアメリカで住む分には問題はありませんが、日本に帰国した場合、日本語の会話はもちろん、特に読み書きに苦労することになります。
アメリカに住み続けとしても、日本語がうまく話せなければ、日本人としての強みを生かすことができず、見た目が日本人なアメリカ人になってしまいます。
日本語が話せるとバイリンガルとして仕事も人間関係も広がります。
私が初めてアメリカに住み始めたのが10歳の時で、ちょうど②の年齢の頃でした。当時の英語のレベルは、アメリカに行くまで全く英語を学んだことがなく、全く英語が話せませんでした。
そんな私が、アメリカに引っ越した次の日に、親からいきなり「今日からアメリカンスクールに入学するよ」と連れて行かれたものだから、最初は訳が分からずに授業を受けていました。
当時の記憶を辿ると、最初は全く英語がわからなかったのが、2、3ヶ月で何となくアメリカ人が言っていることが分かるようになり、6ヶ月で日常会話がある程度話せるようになり読み書きが少しずつできるようになりました。
ただ最初の1年は、特に英語に苦労した記憶があります。
このように私自身が②のケースです。
①の人が自然に英語を習得したのに比べると、私は確実に英語に苦労しました。しかしその反面、日本語がある程度確立されていたので、会話や読み書きを忘れることなく英語も習得してバイリンガルになれました。
では、①と②どちらが良いでしょう?
私が思うに外国語教育は、早い時期から英語(外国語)に触れさせながら、母国語(日本人の日本語)をしっかり確立させることが良いと思います。
すなわち、①と②をうまく混ぜ合わせることです。
①のように赤ちゃんの頃から英語に触れさせておきながら、少なくとも思春期までは日本語教育を母国語としてしっかり習得させることです。
これにより、日英バイリンガルになり、日本では希少な多文化的発想や視点で物事を捉えることができるようになり、将来広い視野を持った人間形成の基本を育てることができます。
発音の観点から見ると、思春期が過ぎてから英語を学んだとしても、正しい発音矯正を行うことでネイティブのような発音を手に入れることも可能です。
確かにある程度の年齢になってからだと、赤ちゃんの頃から学ぶよりも苦労はありますが、決して不可能ではないのです。
ですので、「今の年齢から英語を始めても遅いのでは?」ということはなく、いつでもスタート可能だということを覚えておいてください。